インシデントとは?(リスクマネジメントにおける意味)
インシデント(Incident) とは、リスクが顕在化し、通常の業務やシステムに悪影響を与える事象 を指します。ただし、まだ重大な損害には至っていない段階 であり、放置すると大きな問題(事故や災害)につながる可能性があります。
リスクマネジメントにおけるインシデントの具体例
分野ごとにリスクマネジメントの観点からインシデントの例を挙げます。
1. IT・情報セキュリティ領域
📌 例:企業のメールサーバーに不審なログイン試行が発生
- インシデント:不正アクセスの試みが検知された(ただし、まだデータ漏洩は発生していない)。
- 対応:即座に管理者が調査し、攻撃元のIPアドレスをブロック、影響範囲を分析。
🔴 重大な問題(事故)に発展すると? → 実際に不正アクセスが成功し、機密データが漏洩(=セキュリティインシデント → 情報漏洩事故 へ)
2. 医療・介護領域
📌 例:病院で患者に異なる薬を渡しそうになった
- インシデント:薬の誤投与寸前で、他の看護師が気づき、未然に防げた。
- 対応:ヒヤリハット報告を行い、業務プロセスを見直す。
🔴 重大な問題(事故)に発展すると? → 実際に薬を誤って投与し、患者に健康被害(=医療事故 へ)
3. 交通・運輸領域
📌 例:航空機の管制ミスでニアミス(航空機同士の異常接近)
- インシデント:管制官の指示ミスで、2機の航空機が通常より近距離を飛行したが、衝突は回避された。
- 対応:事故調査を実施し、再発防止策を策定。
🔴 重大な問題(事故)に発展すると? → 実際に航空機同士が衝突した場合(=航空事故 へ)
4. 企業・経営領域
📌 例:工場の製造ラインで機械の異常が発生
- インシデント:ベルトコンベアの異常が検知され、一時的に稼働を停止した。
- 対応:即座にメンテナンスを実施し、影響範囲を特定。
🔴 重大な問題(事故)に発展すると? → ベルトコンベアが破損し、生産ラインが完全に停止(=操業停止事故 へ)
インシデントと事故の違い
用語 | 定義 | 例 |
---|---|---|
インシデント | リスクが顕在化し始めたが、まだ被害が発生していない状態 | 未遂の不正アクセス、投薬ミス寸前、ニアミス |
事故(アクシデント) | 実際に損害や被害が発生した状態 | 情報漏洩、誤投薬による健康被害、航空機衝突 |
リスクマネジメントにおけるインシデント対応の重要性
🔹 早期発見・対応がカギ!
インシデントの段階で適切な対応を行うことで、重大な事故を未然に防ぐことができる。
🔹 インシデント報告・分析の徹底!
「ヒヤリハット」「ニアミス」も重要なデータ。過去の事例を分析し、予防策を立てることで、組織全体のリスク耐性を向上させる。
まとめ
- インシデントとは:「リスクが表面化したが、まだ被害が発生していない状態」
- 事故との違い:インシデントの放置が重大事故につながる
- リスクマネジメントのポイント:インシデント発生時に迅速な対応をし、再発防止策を実施することが重要
「小さなミスの段階で気づき、未然に防ぐ」 ことがリスクマネジメントの核心です!