最近、芸能人の不祥事やスキャンダルの報道で、「削除したはずのLINEのやり取りが復元された」というニュースを目にすることが増えてきました。「スマホを調べて復元されたらしい」といった表現で、まるで魔法のように削除されたデータがスマホから取り出されたような印象を受けます。
ですが、実はここに少しだけ“誤解”があるかもしれません。
本来、スマホの中のLINEのトーク履歴は、削除してしまうと普通の操作では復元できません。初期化されたスマホや、長期間使われていた端末から、削除されたトークを完全に取り出すのは、専門業者でもかなり困難です。
ですので、「スマホから復元された」というよりは、LINE社のサーバーに残っていた情報が、警察などの要請に応じて提供されたというのが、より現実に近い話なんです。
LINEは「エンドツーエンド暗号化」という仕組みを使って、トーク内容を保護しており、基本的にはサーバーに保存されていないとされています。ただし、システム上の一時的な保存や、不具合対応のためにログを保持している可能性、あるいは特定の機能(LINE Keepなど)を通じてクラウド上に残っていることもあります。
もちろん、企業として無断で個人の会話を保存していたら、それは個人情報保護の観点から大きな問題になります。ですから、LINE社も公にはあまり詳しく語りたくない部分かもしれませんね。
今回のような話題は、つい「すごい技術だ!」と感心してしまいがちですが、よくよく見ると「復元」ではなく、「提供」だった、というケースが多いようです。
普段から「スマホのデータは消したら戻らない」と思っておくのが一番ですが、反対に「誰かが勝手に復元してしまうかも」と不安になりすぎる必要もありません。