パソコンは熱に弱いデバイスです。人間の脳のように、CPUが激しく働くと内部温度が上昇し、限界を超えるとシステムはリセットされる仕組みになっています。適切な冷却対策がなければ、故障の原因となり得ます。
今回のトラブルは、冷却システムにおける一つの部品、すなわち放熱板をメインボードに固定するピンの一部が折れてしまったことが原因でした。その結果、CPUと放熱板との間に隙間ができ、冷却効果が著しく低下。熱が十分に放散されず、電源投入後に起動できない状態に陥りました。
通常、CPUは使用中に100度以上まで上がることもありますが、冷却対策としては、CPUに直接取り付ける放熱板(ヒートシンク)と、その熱を空冷ファンで効率的に冷却する構造が採用されています。また、CPUとヒートシンクの間には、熱伝導グリスを塗布して熱の伝達を最適化する方法が一般的です。中には、CPUファンの回転速度を上げることでさらに冷却性能を向上させる設計もあります。
なお、パソコンのCPUは一定温度を超えると自動的にリセットされるため、今回のような状態でもCPU自体が破損することは稀です。しかし、放熱板(ヒートシンク)を正しく装着しないまま何度も電源を入れると、内部部品に大きな負荷がかかり、故障のリスクが高まります。
ところで、シリコングリスの塗布方法についてですが、私は昔から指で塗ることが多いです。指で塗ると、グリスの薄さやムラ具合を自分の感覚で調整でき、「このくらいかな?」という判断がしやすいのです。もちろん、塗りすぎれば効果が落ち、ムラがあると冷却不良につながりますので、適量が大切です。
もう8月もお盆の時期ですが、今年の夏は特に猛暑が予想されます。パソコンも高温による故障リスクがあるため、日頃から冷却対策やメンテナンスをしっかりと行うことをお勧めします。