長年使用していたワープロが突然起動しなくなり、修理依頼を受けました。外観は非常にきれいで、大切に使われていたことが一目で分かりますが、実はこのワープロは20年以上も前の商品です。時の流れを感じさせる一方で、そのしっかりとした日本製のクオリティにも驚かされます。
ワープロの修理依頼は年々減少していますが、特に多いトラブルは、液晶の表示不良、フロッピーディスクの読み込みエラー、そして印刷機能の不具合です。一方で、通電ができないなどの基盤が原因の故障は非常にまれです。これもまた、当時の日本製ワープロがいかに高品質であったかを物語っています。
今回の修理内容
今回の修理では、動作しなくなったワープロの基盤交換を行いました。幸運にも、古いモデルにも関わらず、必要なボードを取り寄せることができました。この時代のOA機器は、今の製品ほど精密ではなく、修理作業も比較的シンプルです。部品一つひとつがしっかりと作られており、チップも小さくはないですが、それがかえって「機械らしさ」を感じさせます。
ワープロの内部を開けてみると、基盤には大小さまざまな部品が並んでおり、それぞれが手作業で取り付けられているような、温かみのある造りです。最近のパソコンやスマホは薄型化が進み、内部の部品もすべて平坦でミニマルなデザインですが、それに比べると昔のワープロの基盤は複雑で、まさに「機械そのもの」といった趣があります。
修理完了の確認
新しいボードを装着した後、通電テストを行いました。結果は見事に成功。ワープロは無事に起動し、元通りの動作を取り戻しました。お客様も大変喜んでくださり、この古いワープロが再び使えるようになったことで、長年の愛着のある機械を手放さずに済むと感謝の言葉をいただきました。
ワープロ修理の未来
しかしながら、こういった修理ができるのも、あと10年くらいかもしれません。部品の供給が限られているため、これから先5〜10年の間に修理が完全にできなくなる可能性があります。ワープロの初期の頃は、製品の技術的な限界が明らかであったかもしれませんが、パソコンの黎明期から現在まで、一貫してこれらの機械に携わることができたことは、私たちにとって貴重な経験です。
ワープロが登場した頃から見守ってきた技術の進化は目を見張るものがあり、その一端を担うことができたことに誇りを感じています。パソコンやスマートフォンが日常の道具として進化を遂げる中で、ワープロのような古い機械もまた、時代を超えて愛され続ける存在であり続けるでしょう。
私たちの修理技術も時代とともに変わっていきますが、今後もできる限り多くの古い機械を蘇らせていきたいと考えています。それは、技術の歴史を後世に伝える大切な役割でもあると信じているからです。そして、これからも長く愛され続けるよう、一つひとつの機械を大切に扱っていくことをお約束いたします。